コラム

両罰規定による処罰のリスク

法人の代表者や従業員が、廃棄物処理法や所定の環境保全を目的とする法令の規定に違反した場合には、違反行為をした行為者に加えて、その者が属する法人も処罰される場合があります。廃棄物処理法32条1項で、このように法人を処罰する規定が設けられており、犯罪を実際に行った行為者のほかに、法人を処罰する規定を両罰規定といいます。

両罰規定によって、法人が罰金刑に処せられてしまいますと、法人は、廃棄物処理法上の欠格要件に該当することとなり、許可が取り消されることとなります。

ここで注意すべき点としては、産業廃棄物収集運搬業や産業廃棄物処理業を営む会社の従業員が廃棄物処理法上の犯罪行為を行ってしまうと、会社の過失が推定され、従業員を適切に監督していたと証明しない限り、両罰規定によって、罰金刑に処せられてしまい、その結果、欠格要件該当を理由として許可取消が義務的になされてしまう点が挙げられます。

貴社では、従業員の方々がお客様との間での産業廃棄物処理委託契約やマニフェストの運用を廃棄物処理法に則って適正に行っていると自信を持っていえるでしょうか。廃棄物処理法は、その内容を十分に把握していないと、知らないうちに違反してしまうことがあり得る法律といえます。

そのため、産業廃棄物収集運搬業や産業廃棄物処理業を営む会社においては、自社の従業員の違反行為に起因して両罰規定による処罰によって、廃棄物処理法上の許可が取り消されてしまう事態が発生することがないよう、従業員に対して、顧問弁護士による廃棄物処理法に関する研修や定例会を実施することを通じて、自社内で廃棄物処理法を遵守する意識を高めることが重要といえます。

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