コラム

廃棄物該当性判断の悩ましさ

廃棄物処理法は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする法律で(廃棄物処理法1条)、廃棄物には適用されるのですが、有害使用済機器を除き、廃棄物でない物には適用されません。

そのため、廃棄物処理法が適用されるか否かを検討する上で、ある物が廃棄物に該当するかどうかを判断する必要があります。

この点については、最高裁平成11年3月10日決定(いわゆる「おから事件」)において、「不要物」とは、自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要になった物をいい、これに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して決するのが相当である旨判示し、廃棄物に該当するか否かについては、総合的に判断することが明らかにされております。

もっとも、「その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して決する」といわれても、総合判断であるが故に、どの考慮要素をどの程度勘案すれば良いか判断することは容易とはいえません。

廃棄物処理法が適用されるにもかかわらず、適用されないと自社内での判断を前提として事業を開始・継続してしまいますと、廃棄物処理法違反の事実を積み重ねてしまい、違反によるレピュテーションリスクが発生するおそれがございます。

そこで、廃棄物処理法の適用の有無が問題となり得る事業を開始しようとする際には、廃棄物処理法に詳しい弁護士等の専門家に事前に相談の上、できる限りリスクを回避できるようにしておくことが肝要といえます。

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