コラム

産業廃棄物処理業を営む経営者について相続が発生した場合の廃掃法上の注意点

産業廃棄物処理業を営む株式会社の経営者について相続が発生した場合には、経営者が保有していた自社株式を後継者が遺産分割によって取得することなどを通して、経営者から後継者へと大株主に変更が生じたり、株式会社の取締役に変更が生じたりすることがあります。

産業廃棄物処理業を営む株式会社の経営者について相続が発生した場合の注意点としては、廃棄物処理法(以下「廃掃法」といいます。)14条の2第3項に基づいて、5パーセント以上の株主の変更があったときや、株式会社の取締役等の法人の役員に変更があったときには、変更の日から10日以内(ただし、商業登記簿謄本を添付する必要がある場合にあっては30日以内)に都道府県知事に変更届を提出する必要があることが挙げられます。

経営者について相続が発生した際には、多くのケースで相続開始時から10か月以内に、遺産分割をした上で相続税の申告・納税を完了させなければならない状況に置かれるなど、対応する必要がある各種手続に追われてしまい、廃掃法上要求される変更届の提出まで頭が回らないことも起こり得ます。

もっとも、5パーセント以上の株主の変更があったときや、株式会社の取締役等の法人の役員に変更があったときなどに廃掃法上求められる変更の届出をしないと、30万円以下の罰金が科せられる可能性がある点に注意する必要がございます(廃掃法30条2号)。

ですので、産業廃棄物処理業を営む株式会社においては、その経営者について将来発生する相続や後継者への円滑な事業承継がなされるように備えるためにも、経営者が健在である間に、弁護士等の専門家と協議の上、廃掃法上必要とされる各種手続を確認したり、事業承継対策を行ったりしておくことが有用であるといえます。

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